国立大学(4年間)でどれ位の学費がかかるのか、通学費や生活費なども含め総合的にかかる費用をまとめてみました。

フィナンシャルプランナー:滝澤

私立などに比べると圧倒的に安い国立大学ですが、昔に比べると学費は高騰し続けています。なので10年前、20年前とはだいぶ変わってきてしまっているのが現状です。


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国立大学の4年間でかかる学費平均

現在の国立大学の学費は、年間で538,000円・入学金が282,000円(平成27年現在)。
よく言われているように、この金額は1970年代と比較して、なんと15倍にも値上がりしており、諸物価の変動と比較しても異常な上昇率となっています。

とは言っても、日本の大学入学を志す限り、「お金が足りないからいかない、気に入らないから払わない」というわけにもいきません。

では、実際に、大学4年間でどれくらいの費用がかかるのでしょう?

その他の経費もふくめて、大学在学中4年間にかかる費用を総合的に見てみましょう。

実家から通う場合

当たり前のことですが、自宅から通う、いわゆる「自宅通学」が、費用的には最も安く済む方法です。
日本は不動産の賃貸料金も学費に負けず劣らず高額ですから、このために、最近では、居住地に近い大学を志望する傾向が強くなっています。

自宅通学の場合、学費の他にかかる費用は、まずは大学までの『通学費』です。
これは距離や交通機関によって異なるので、もちろん一概には言えません。自転車や徒歩で通えるなら0円で済みますが、そこまで恵まれた環境の学生は稀でしょう。

通学にかかる平均値は、8,575円/月。

これも当然ながら、学校が多く、交通網の整っている都市部ほど安く、地方に行くほど高くなる傾向があります。
なお、この平均値には、地方で車で通学している場合の燃料費も含まれています。

この他に、

  • 授業料以外の学校納付金(施設設備費・実験費用・後援会費用等)が約900円/月
  • 教科書、参考書などのその他の修学費が約4600円/月>

などが「最低限」かかる費用で、これは自宅以外からの通学であって同額がかかることになります。

公益法人『生命保険文化センター』の統計によりますと、平成24年・25年度の自宅から通う国立大学生4年間の出費は、学費を含んだ平均で538.4万円/4年間。
ここから割り出すと、

  • 134.6万円/年
  • 11.2万円/月

となります。

これで「最も安く済んでいる」のですから、いやはやですね。

また、実際には、自宅生の場合の「目に見えない費用」として、1人分の光熱費+食費が家計にプラスされることになります。
この費用は、自宅外通学の場合、自炊などの食費が加算されるわけですから、忘れることはできません。4年間であれば、総額はけっこうな額になります。


実家以外から通う場合

平成27年時点での「自宅外通学者のいる世帯」の割合は、全体の30.3%(※日本政策金融公庫調べ)で、地方ほど多く、都市部ほど少なくなります。
自宅外通学の場合は、下宿やアパートを借りるのがほとんどですから、当然その賃貸料がかかることになります。

他、食費・光熱費など、小さいながらも「一世帯」分の生活費がかかります。
もちろん、電力や水道料の基本料金も一世帯分かかるわけです。

前述の生命保険文化センターの統計(同年比較)では、下宿で国立大学に通った場合の費用は839.6万円/4年。
自宅生と比べて、ちょうど300万円ほど余計にかかっている計算になります。

参考に、こちらも年額と月額を算出しますと(カッコ内は自宅生との比較)、

  • 209.9万円(+75.2万円)/年
  • 17.5万円(+6.9万円)/月

その他、小遣い等、私立を含めた自宅外通学者への、いわゆる「仕送り」額の平均は、年間124.9万円。月額になおすと10.4万円となっています。
ただし、学資ローン利用世帯の場合は、これより20%ほど仕送り金額が下回っているという統計が出ています。

これらの金額は、あくまで4年間の総額をならした平均値でしかありません。

自宅外通学の場合、入学時の初年度には、賃貸の敷金・保証金・引越し費用等々の出費が加わりますから、圧倒的に多くなります。

その費用は、居住した地域に大きく左右されることになりますが、平成27年の統計では、入学者1人当たり約45万円也

これに入学金と最初の学費+受験料(×受験校数)も加算されるわけですから、1年目の総額たるや、たとえ国立であってもバカになりません。

医学部の場合どれ位学費は変わる?

高いことで知られる医学部の学費ですが、国立の場合は学費・入学金ともに同額の538,000円です。

ですが医学部の場合、修学期間が6年間ですので、学費は当然2年分多くなり、総額で350万円/6年。

その他の経費についても、国立の場合は他の学部との差額はほとんどなく、2年分を加算すればいいことになります。
あとは参考書や教科書が多少高め、といったところでしょうか。

稀に、公立であっても、寄付金(献体などの)をとるところもあるようです。

実は、医学部に限って言えば、国策でこれでもかなり安く抑えられており、これが私立ともなると、この10倍近い費用を覚悟しなくてはなりません。

同調査による平均は、自宅生で2540万円/6年と、国立の約7倍。すでに単位が違います。
ある意味、一般庶民には「国立に合格する以外に、医師になる手段は閉ざされている」と言って過言ではないでしょう。

生活にかかる費用面については、自宅生・下宿生ともに、他の学部との大きな違いはなく、2年分を加算して考えればいいことになります。


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理系の場合どれ位学費は変わる?

私立では大きな差が出る理系と文系ですが、こと国立に限っては、原則「同額」ということになります。
これが、私立になると話はまったく別で、入学金の段階から理系が比較的高額になります。

平成27年度調査(日本政策金融公庫)で、私立大学1年間の在学費用は、

  • 文系:142.2万円/年
  • 理系:178.0万円/年

となっており、理系が文系よりも1.25倍ほど余計にかかる計算です。

ただし、文系でも、法学部や語学系などは、一般に学費が高く設定されており、ともすると理系よりも高いケースもあります。

私立大学と国立大学の学費の差はどれ位?

国立大学と私立大学を比較すると、文系の142.2万円(年)でも国立の1.5倍。
理系の178.0万円(年)は、国立に入学した場合の1.9倍と、約2倍近い数字になっています。

もちろんこれは平均の話であって、高いところは国立の5倍などということも、けして珍しいケースではありません。

その点において、全学部が共通している国立はかなり割安と言えます。

この他に、私立の場合は、寄付金のある大学が少なくなく、他、サークルやゼミなどの費用、交際費等も私立の方が高い傾向にあるようです。

まとめると、国立大学の学費は安い?高い?

さて、いろいろな費用の平均値を紹介してまいりましたが、総評として、日本の国立大学の費用は「安い」と言えるでしょうか?
私立とだけでなく、海外とも比較して考察してみましょう。

やっぱり国立が割安

前述のように、私立の方が国立よりも1.5倍〜1.9倍、医学部に限って言えば10倍近く高いことになりますから、国立が圧倒的に安いことは間違いありません。
特に、理系や医系については、より「割安」感があることも確かです。

ただし、一般的家庭の平均年収が420万円程度ですから、それと比較して、国立で自宅から通ってさえ、130万円もかかるというのは、たいへん重い負担であることに違いはありません。

家計に占める割合は、年収200万〜400万円の世帯では、実に36%。もし子供が2人いれば、年収の7割以上が学費で出て行く計算で、とうてい暮らしていけません。

国立でさえそうなのですから。ましてや私立であれば、たとえ子供が1人であっても、家計は大学初年度に破綻しかねない、というのが現実です。

海外と比較した場合は?

では、これを海外と比較した場合はどうでしょう?
単純に国立大学の学費だけを比較した場合、OECD(経済協力開発機構)加盟国中、なんと2番目に高い(1位はアメリカ)という不名誉な状況が続いています。

それもそのはずで、実は、欧州など先進諸国は、国立大学の学費・入学費、受験費用ともに、ほとんどの国が「無料」なのです。

進学を援助する奨学金などの制度においては、学費1位のアメリカよりはるかに劣っているため、実質「世界で最も進学にかかる経済負担の大きい国」としてOECDからも改善勧告を受けているほど。

なぜ海外と比べて、これほど格差がついているかと言えば、理由はいろいろあるでしょうが、なんと言いましても、第一に「大学の数」です。

日本の大学数は778校(国立87校,公立89校,私立580校)で、OECDでは米国(2629校)に次いで多く、ドイツ(370校)、フランス(94校)と比べても、その数は異常と言えるほど多いのです。

結果、1校あたりの補助金が下がり、その分が家計負担として重くのしかかって来ている、というわけです。

しかも、大学の学費については、税制の優遇処置はまったくありません。
そういう意味では、大学の学費は、国立大学でさえ、まだまだ「高い」と言えるしょう。


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